ブロックチェーンで食の安全を担保する

ブロックチェーンで食の安全を担保する

 農業でブロックチェーンが当然のように利用される。そんな日は案外近いかもしれません。

ブロックチェーン

ブロックチェーン

前回、ブロックチェーンがどのような技術か簡単にお伝えしました。

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今回はブロックチェーンを用いて、農業の生産、流通、販売までのサプライチェーンがどのように変わろうとしているか見ていきましょう。

食の安全を保証する仕組み

ブロックチェーンはデータの改ざんがほぼ不可能であることは前回お伝えしました。

では、この技術を農業で用いるとどうなるのでしょうか。

皆さんの中には、生産のプロセスを記録している人もいらっしゃるかもしれません。

しかしその記録が確かなものか、いざ証明するのは難しいものです。

仮にExcelに記録してたとしましょう。しかし、実際にはExcelのデータは書き換えが可能です。すなわち、Excelだけではその情報の信ぴょう性を証明するのは困難です。

それでは農作物の生産記録をデジタルで、かつ信ぴょう性を担保する形で残すにはどうすれば良いのでしょうか。その手段の一つがブロックチェーンになります。

前回もお伝えした通り、ブロックチェーンのデータは高度な暗号技術により書き換えがほぼ不可能です。

つまり、ブロックチェーンに記録された過去のデータは、その後改ざんされていないデータとして証明されます。

農業生産でもブロックチェーンを活用すれば、いつどのような作業を実施したかそのデータから証明することができるのです。

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そして、この情報はその後の流通や販売にも影響を与えます。特に農作物がどこで生産され、どのような流通経路を辿ったかは農作物の価値を示す貴重な情報になるでしょう。

世界中に届けられるデジタルデータの価値

前回の記事では、ブロックチェーンのメリットとしてデータを「デジタル」で保存できることを挙げました。

情報が改ざんされずデジタルで残る、これも農業において大きな価値をもたらすかもしれません。

先ほど挙げた農作物の生産記録など「紙」に記録している方も多いのではないでしょうか。しかし紙に書かれた情報は、デジタルの情報に比べて第三者に届けるコストが余計にかかります。

特に、世界中に届けようとすると多額のコストが発生するでしょう。

しかし、デジタルであればインターネットを介してすぐに届けることができます。

仮に農作物を世界に展開する場合、適切なプロセスで安全に生産したことを証明できれば、それは大きな価値になります。

そしてそれを証明する手段としてブロックチェーンの活用が進められようとしているのです。

実際、IBMなど大手IT企業、WalmartやKrogerなどの小売のグローバル企業、NestleやDoleなどのグローバル食品メーカーは共同でコンソーシアムを設立しています。

ブロックチェーンの利用した生産から流通まで管理する「食品トレーサビリティ」の実証実験が行われています。

農業でブロックチェーンが当然のように利用される。そんな日は案外近いかもしれません。

山田雄一郎

キーワード: ブロックチェーン,サプライチェーン