ハウス栽培の飽差をコントロール

ハウス栽培において飽差は重要です。病気を予防したり生育にも大きく影響します。飽差をコントロールしてより品質を高めましょう!
飽差とは?
飽差とは簡単に言うと、どのくらい空気中に水分を含む余裕があるのかを示すものです。そして、飽差管理が適切でないと光合成をしなかったり、萎れたりする恐れがあり、品質・生産量向上には適切な管理が必要です。飽差は気温と相対湿度から計算で求めることができ、最適な飽差値は作物の種類ごとに異なりますがおおよそ3~6g/㎥と言われています。
また、飽差管理は気温・湿度管理をするということです。相対湿度が高すぎると結露が生じてしまい、病害発生の原因となってしまいます。病害発生のリスクを抑えるためにも飽差を管理することは重要になります。
飽差と光合成の関係性
作物を成長させるためには光合成が必要となります。光合成を促進させるには太陽光を浴びさせるほかに適度な湿度が必要なのはご存知でしょうか?
葉の表皮に存在する気孔を開いていないと光合成は起こりません。急激な湿度低下(秋冬時の換気等)が起こると、植物が水不足と認識して気孔を閉じてしまいます。気孔を開けた状態にするには急激な湿度低下を防ぐとともに適切な飽差値になるよう心がけましょう。
飽差と病害の関係性
日の出後、植物は太陽光を受け蒸散を開始し、相対湿度が高まります。気温も上昇しますが、作物の温度はゆるやかに上昇するため、結露が発生する可能性があります。結露が発生してしまうと放置すればカビの原因になり農作物に多大な被害を与える恐れががあります。
飽差の計算
気温と相対湿度から飽差を計算します。ここではHumidity Deficit:HD[g/㎥]の計算方法を紹介します。(Vapour Pressure Dificit:VPD[hPa]という別の定義も存在します。)
- 飽差 = (100-相対湿度)×飽和水蒸気量/100
- 飽和水蒸気量 = 217×水蒸気圧/(気温+273.15)
- 水蒸気圧 = 6.1078×10^(7.5×気温/(気温+237.3))
式で使用する要素一覧になります。
- 飽差[g/㎥]
- 飽和水蒸気量[g/㎥]
- 水蒸気圧[hPa]
- 気温[℃]
- 相対湿度[%RH]
気温と相対湿度の変化による飽差を計算してみました。作物によりますが、最適値である3~6g/㎥に色を塗っています。
実際に管理するには?
実際に飽差を管理するには、細霧を噴射し湿度を上げたり、逆にすかし換気をして湿度を下げたりし、湿度をコントロールして飽差を管理する必要があります。しかし、まずは現状の温度と相対湿度をデータロガーなどで測定することから始めてみてはいかがでしょうか。
温湿度ロガーで飽差を測定してみましょう!
SAIBARUでは気温と相対湿度を定期的に測定することができる温湿度ロガーを販売しています。今回はこちらを使用して気温・相対湿度を測定し、そこから飽差を計算していみましょう!次回具体的な方法を紹介します!
飽差に関する専門用語集
- 飽差
- どのくらい空気中に水分を含む余裕があるのかを示すもの
- 光合成
- 太陽光によってCO2と水から炭水化物を合成すること
- 気孔
- 葉の表皮に存在し、光合成、呼吸、蒸散に使用される