様々な農業用センサ

農業には重要な要素がたくさんあります。その要素を測定するセンサーは様々です。
モニタリングの重要性
温度・湿度など、栽培環境では重要な要素がたくさんあります。それを随時測定し、分析するモニタリングを実施することは品質・生産量向上に役立ちます。また、前期測定したデータと今期を比較・検討することで新たな検討材料が生まれる可能性があります。今回は、様々なモニタリング用のセンサーをまとめてみました。
最近の農業用センサ
農業用のセンサにも温度や湿度などたくさんあります。また、データロガーとして端末やクラウドへデータを蓄積できるものもあります。
- 温度、湿度センサ
- CO2濃度センサ
- 照度センサ
- PHセンサ
- 画像センサ
- EC計、ECセンサ
温度、湿度センサ
作物ごとに適切な温度・湿度は異なりますが、ビニールハウスや農業用建屋内の年間及び一日の温度・湿度を把握することは作物の品質・生産量向上に役立ちます。温度と言っても、気温・壌土温度・培養液温度など様々です。光合成量や病害に関係している飽差も温度・湿度センサから計算できます。
ビニールハウス内でも内側と外側で温度差が存在します。温度差が生じると結露が発生してしまい、病害の原因になります。また、作物の品質にもばらつきが生じてします恐れもあります。どれくらい温度差があるのか把握し、もし温度差が著しい場合、ファンで空気循環するなど対策が必要です。
対策:ボイラーで温度管理、ミスト噴射で湿度管理、ファンで空気循環、換気
用途:ビニールハウス内の気温・飽差管理、壌土管理、培養液管理
CO2濃度センサ
生産量を増やすためには光合成量を増やす必要があり、CO2が不可欠です。大気中のCO2濃度の平均は400ppmと言われていますが、ビニールハウス内で光合成量が増大する日中は400ppm以下になる場合があります。CO2が400ppm以下になると光合成量が低くなってしまうので、炭酸ガス施用などの対策が必要になります。
少し前まではCO2濃度を測定するのは困難でしたが、今では簡単に設置するだけで測定できるCO2センサーがたくさんあります。現状のCO2濃度を測定して、日中のCO2濃度を把握してみましょう。
対策:炭酸ガス施用・空気循環
用途:ビニールハウス内のCO2濃度管理
照度センサ
光合成にはCO2も必要ですが、光エネルギーも必要になります。光エネルギーは太陽光やLED照明から供給されますが、どれくらいの光エネルギーかを把握することは光合成量を把握することと同じく重要です。照度は単位面積当たりの光の明るさで、光そのものの強度ではなく、当たっている部分の明るさのことです。太陽光では20,000[lx]以上の時もあります。
照度が高いと光合成も活発に行われますが限度があり、作物によりますが、60,000[lx]以上の場合作物の表面に亀裂が入るなどの報告があります。かと言って低すぎると光合成があまり行われない場合があるため適度な光が必要です。くもりなどであまり太陽光が当たらない時はLED照明などで補光したり対策してみてはいかがでしょうか。しかし、LED照明は電気代がかかるので費用対効果を検証する必要があります。
光合成は葉の総面積によっても変動します。太陽光を効率よく葉っぱに当てるには、葉っぱ同士で遮蔽しすぎない程度の葉面積指数3~4が適切な値のようです。(一般的な落葉樹の場合)
対策:透過率の高いビニール・フィルムを使用する、LEDで補光する
用途:ビニールハウス内の照度測定、天候観測
PHセンサ
土壌及び培養液のPH(酸性度)は成長速度や作物に影響します。PH値が酸性・アルカリ性に偏っていると根が傷んだり病害が発生したりします。作物や植物にそれぞれ最適なPH値があるので、育てたい作物・植物の最適値を知ることが始めましょう!
土壌の場合、石灰や市販で売られている土壌改良資材を混ぜたりし、最適な値に調節します。水耕栽培の場合は培養液のPHが調整されているものを購入したり、PH調整剤を混ぜたりして調整します。(市販の培養液の取扱説明書をよく読んで適切に調整してください)
昔から知られているリトマス試験紙で測定する方法や土壌に挿入するだけで測定できる測定機器も販売されています。まずは現状のPHを把握し、その後最適なPHになるように調節してみてはいかがでしょうか。
対策:石灰や土壌改良資材を混ぜる、PH調整剤を混ぜる
用途:土壌・培養液のPH測定
画像センサ
葉の色などを画像で観測し続け、変化を検証したり、画像解析で作物の状態を分析したりと画像から様々な状態を把握することができます。最近では取得した画像とAIを駆使し、選別作業にも使われたりしています。
日々、成長する作物を撮影すると、成長度合いや病害の発生にいち早く気づくことが出来たりと利点があります。また、去年育てた作物と状態を比較したりすることで、品質の評価に使用したりすることができます。
用途:葉・作物の状態観測
EC計、ECセンサ
ECとは土壌の肥料濃度・水耕栽培の場合は培養液の肥料濃度の目安として用いられる、電気伝導率のことです。(電気伝導度とも呼ばれます。)電気伝導率と土壌や培養液に含まれる硝酸態窒素濃度には相関があり、その相関から肥料濃度を把握します。電気伝導率が高いと硝酸態窒素濃度が高い=肥料濃度が高いということがわかります。
土壌に含まれる肥料濃度が低すぎると作物の成長は遅くなりますし、高すぎても根が傷んだりして養分を十分に吸収できなく、結果的に成長が妨げられます。作物によって適切なEC濃度があるので、EC計を用いて計測していみましょう。
ECはmS/cmの単位を用いるのが主流です。土壌中の肥料濃度の場合は0.7~1.5mS/cm、水耕栽培の培養液の場合は0.7~3.0mS/cm程を目安に濃度を調節します。(作物によって適切な濃度は異なります。ご自分で適切な値を調査することをお勧めします。)
EC計は土壌や培養液に先端を挿入し測定できるものや土壌を水に溶かして測定するものがあります。各種センサーによりますが、初期測定前に標準液で校正後測定するようにしましょう。
用途:土壌・場家容器の肥料濃度
まずは測定してみましょう
これくらいの値からと予想していても、正確なパラメータの値を把握していなければ対策が練られません。現状の環境を把握するためにもモニタリングは重要です。最近だと、簡単に設置するだけで測定できる機器が販売されているので、まずは測定してみてはいかがでしょうか。
SAIBARUでは簡単に測定することができます
SAIBARUではだれでも簡単に設置し、スマホ(Android8.0以上)があればすぐに測定することができる各種センサーをご用意してます。クラウドと接続することができるので、webブラウザからデータを見ることができます。
各種センサーに関する専門用語集
- 温度、湿度センサ
- 気温[℃]や相対湿度[%RH]を測定することができ、飽差も求めることができるセンサ
- CO2濃度センサ
- 光合成速度に影響する二酸化炭素濃度[ppm]を測定することができるセンサ
- 照度センサ
- 太陽光やLED照明の単位面積当たりの光の明るさ[lx]を測定することができるセンサ
- PHセンサ
- 酸性、アルカリ性かを測定する
- 画像センサ
- 葉や作物の形状・色を撮影し、分析する